サッカー少年に「頑張れば必ずプロになれるよ」と伝えることは、果たして「いい話」なのでしょうか。誠実な指導者ならば、おそらくそのようなことは言わないはずです。それは事実ではないからです。そして、投資について書かれた本に目を向けるなら、状況はもっとひどいのです。誰もが簡単に儲けられるような顔で話をしています。それは事実ではありません。
「第五章:必ず起こる暴落に対処する」より
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本書の紹介文
私たちのような「普通の人」はどうすべきなのか
投資を「結局はギャンブルなんでしょ?」「怪しいものだから近づかないほうがいい」と考えていると、真面目な資産形成の機会を失ってしまいます。また、もう少し投資に関心のある人であっても、「何が正しいのかさっぱりわからない」「投資は難しすぎる」という印象を持っている人は多いことでしょう。
本書では「うまい儲け話がその辺に転がっているはずがない」というごく常識的な観点からスタートし、投資にまつわる基本的な疑問の解消を目指します。さらに、投資によって私たちのような「普通の人」が比較的安全に資産形成していくにはどうしたらいいのかという点を、その根拠とともに詳しく解説していきます。
副題にもあるとおり、世の中に無数に存在する投資の分野と手法の中で、本書で取り扱いたいのは株式投資です。もっと具体的には、長期保有と国際分散を前提としたインデックス投資になります。当然、そのような選択には根拠が必要であり、なぜそのような選択を行うべきなのかということが、本書で考えていきたいと思っている主要なテーマです。
大切なお金を失わないために
本書では、ただ「これを買っておけば大丈夫です」というだけの無責任な主張は行いません。投資が「怪しいものだ」というイメージは、部分的には事実であり、あなたが行く先には無数の罠と落とし穴が存在しています。あなたが投資で一儲けしようと思っているとき、その反対側にいるのは、あなたの欲と願望を利用して一儲けしてやろうと考えている人たちです。
本書の目的は、合理的な資産形成の方法を解説することですが、重要な目的をもうひとつ挙げるとすれば、それはあなたがこのような罠によって大切なお金を失ってしまうことを回避するということにあります。
一攫千金という非現実的な願望をきちんと捨てて、常識のある人たちにとって妥当な投資行動とは何なのかという点について、納得のいく説明にたどり着くということが本書のゴールです。
信じるだけで救われるなら、誰も苦労はしない
世界が自分の思いどおりにいかないというのは、当たり前のことです。神様を信じたからといって、すぐさま神様が現れて救ってくれるということはありません。これはもっと世俗的に、株価チャートの画面を前に「値上がりしてくれ」と願うことでも同じです。この投資理論が正しいはずだからとか、あのインフルエンサーがそう言っているからといったこともそうです。
何事においても、現実に成果を出したいのなら、その現実を現実として理解し、適切に対処し続けるしかありません。本書が目指すのは、私たちのような普通の社会人が資産形成を行うための実行可能な方法について、「これを信じなさい」という言葉を使わず、読者自身が自分の理解と判断で行動できるようになることです。このようなタイプの投資の入門書は、おそらく世の中にはあまり存在しないはずです。
本の値段と、お金のスケール感の話
数百円という金額を目にしたとき、その数字からイメージされるのは、コンビニやカフェで使うお小遣いですね。数万円であれば毎月の各種生活費の引き落とし、数百万円であれば年収を考えるときのスケールになります。
投資の成果として得られる金額のスケールは、この最後のものか、もっと大きなものになる可能性があります。当然、これは確約されるものではありません。投資の世界にそういうものは存在しないからです。ただ、合理的に考えてそれくらいのレベルが期待できそうだということの根拠はお話しするつもりです。
本書は書籍としてごく普通の価格設定がされており、この金額は外で一回お酒を飲むときに必要な額よりも低いものです。合理的な投資行動を取ることによって、あなたが将来得られるであろうものを考えると、これはかなりお得な買い物になるのではないかと筆者は考えています。
本書の内容
目次と各章の概要
章タイトルのリンクはnote版の個別ページです。
- はじめに:本書の目的 …… この章。本書が誰に対して書かれていて、あなたに何を説明したいと思っているのか
- 第一章:「投資する」とは実際には何をすることなのか …… 投資でお金が得られる理由を理解する。なぜ投資は危ないと言われるのか、上がり下がりする株価チャートの正体はいったい何なのか
- 第二章:投資でがっかりするための確実な方法たち …… 世の中で話題になる投資手法は本当に儲かるのか。誤って信じられがちな、信じられないほどあやふやな投資の幻想について
- 第三章:資本主義全体の成長に賭ける …… 株式への長期の分散投資という回答の提示。研究データの参照と、「予測に基づいて投資対象を選別することをやめる」という発想の転換
- 第四章:商品の選択 …… あなたが証券口座の画面を開いて、何を買うかを選ぶときの道案内。検索するとずらりと出てくる金融商品たちは、何を比較して、どれを選べばいいのか
- 第五章:必ず起こる暴落に対処する …… 普通に社会人として働きつつ、投資家としてのマインドに切り替える。これからあなたを襲うはずの脅威と、どうやってそれに立ち向かうかについてのヒント
- 第六章:リターンの向上を狙う …… ここまでに考えてきた投資の原則に、改善点はあるのか。再びデータを参照し、「選別することをやめる」に例外があるのかを探る
- 第七章:投資と生活を結びつける …… お金を扱う以上、投資と日常生活は切り離せない。長い人生の中でしっかり資産形成をしていくために、あなたが考えていくべきこと
- 第八章:投資的思考とあなたの人生 …… 本書のおまけ的な章。投資家として、不確実で難しい現実を理解するという習慣を身につけることができたなら、それはその人自身の人生を豊かにしていくためにも役立てることができる
- おわりに:全体のおさらい …… 本書全体の復習と結び。最後に、あなたに覚えておいてほしいこと
試し読み
note版では、第二章までの内容が無料で試し読みできるようになっています。また、第三章以降も、冒頭の内容が少しだけ試し読みできるようになっています。さきほどの目次のリンクからどうぞ。
その他の情報
書籍データ
- 発行日:2024年初夏頃を予定
- 書籍コード(シロイブックス):SR-002
関連コンテンツ
以下を公開予定:
- 制作ノート:「投資に正解は存在するか:堅実な株式投資と資産形成の入門ガイド」